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建築家の北山恒さん
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 歌舞伎や文楽など伝統芸能の拠点である国立劇場(東京都千代田区)の再整備が立ち往生している。民間資金を活用するPFI方式で、ホテルなどと一体化した新施設に建て替える計画だが、2度の入札は不調に。昨年10月に閉場したまま、先行きが見えない。何が問題か? 解決のヒントは? 建築家の北山恒さんに聞いた。

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 国立劇場の建物が古くなったので、壊して、建て直す。しかもホテルや商業施設などと一体化して、民間に任せる。

 国が進めようとしているこの計画は、ひどい「悪手」。早く方向転換するべきです。

 1999年に小渕恵三首相(当時)の諮問機関「経済戦略会議」の答申が出されて以降、新自由主義的な政策が加速し、政治が経済をサポートする「ゆがみ」が進みました。象徴的な風景が、大都市圏で次々と建っている超高層ビルです。規制が緩和され、「みんなの共有のもの=コモンズ」である天空を食いつぶす、都市は資本の狩猟場になっています。この答申は「国有財産の有効活用」にも言及している。国立劇場をホテルや商業施設と一緒にして、観光拠点にするという発想も、その延長でしょう。

 国立劇場とは、国が責任をもって、伝統文化を守る場所です。短期的な経済活動と結び付けてはいけない。劇場単独で再整備する道を考えるのが当然です。パリのオペラ座にホテルをくっつけることを想像すれば、そのおかしさがイメージしやすいでしょう。

 誇りをもって提示されている文化に魅力を感じるから、人々が集まるのです。観光客が増えるのは、あくまで結果。観光を先に考えるのは本末転倒です。

「つくっては壊す」は前世紀の誤り

 経済の面から見ても、民間主…

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